大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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旬の野菜とともに、唄い・描きながら、街に活気を届ける「小野田青果店」
みなさんは商店街の八百屋さんを日頃利用されますか?最近では大手チェーンのスーパーやショッピングモールが全国的に展開されており、ほぼ全てがそこで揃ってしまうほど充実しています。しかし、大手スーパーやショッピングモールでは得られない暮らしを豊かにするアイデアを、調布上布田商栄会の八百屋「小野田青果店」さんはみなさんに提供し取組まれます。

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小野田青果店

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店頭に並ぶ旬の野菜達

街の八百屋さんの、暮らしを豊かにするアイデアにフォーカスし今回取材させていただく方は、ラッパー(ヒップホップ・ミュージシャン)であり、アラベスク(幾何学的文様を反復して作られる絵画)調絵画のアーティストであり、八百屋さんでもある、「二足のわらじ」ならぬ「三足のわらじ」でご活躍される、山田 高靖さん(以下「山田さん」)にお話をうかがいました。

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山田 高靖さん

まず、1つ目の「わらじ」とするラッパーである山田さんについておききします。

post_strong_01 ラップは僕が17歳(高校2年生)の頃からはじめました。キャリアでいえば今年で19年目ですね。ラップをはじめたきっかけは、夜中に音楽番組を見ているとき「ハウスオブペイン」のライブ放送を見て「かっこいい!」と思ったんです。そのとき、この音楽がヒップホップというジャンルかどうかも分からずに、CDショップにこのアーティストのCDを買いに行きました。そのとき買ってしまったのが、「ハウスオブペイント」というロックバンドCDでした(笑)。今では、自分でもラップを唄いインディーズレーベルでCDを出したりもしています。
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八百屋さんをされる前は、日野市のゴミ収集業者で働きながらも、毎週ライブをこなしていたようです。

post_strong_01 八百屋さんになった今は、1日13~15時間労働となるので、一昨年は年に1回だけのライブとなりました。それは、国立市場で開催される「多摩地区青果まつり」での、「野菜ラップ」のライブです。
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「野菜ラップ」とはまさに野菜をテーマにした、子供からお年寄りまで楽しめる内容のヒップホップ・ミュージックとなるようです。大変好評とのことで、今では「多摩地区青果まつり」ではかかせない演目として山田さんの「野菜ラップ」が披露されます。

国立市場「多摩地区青果まつり2014」での野菜ラップの様子

post_strong_01 最近では1月半に一度はライブが行えるようになってきました。僕が通うライブハウスは毎週金曜日にライブが開催されていたのですが、友達や周りの協力もあり土曜日開催にしてもらえたんです。ライブは夜開催が中心なので、朝3時から仕事が始まる八百屋にとっては、夜遅くまでライブ活動ができないんです。僕が勤める八百屋は、次の日(日曜日)は休みなのでのとてもありがたく感じています。
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そして2つ目の「わらじ」となる、アラベスク調絵画のアーティスト活動についてお話をおききします。

post_strong_01 絵を描き始めるきっかけは、日本を代表する数学者「秋山仁」さんの講演を聴いてからです。この人のように活動の場を広げて生きて行きたいと思うようになりました。その想いから、日本全国を転々としながら仕事をすることとなるのですが、沖縄で職についていた頃、とても時間をもてあましていたんです。そこで、毎週発売されるコミック雑誌の漫画を写生しだしたことが、絵を描くことのきっかけです。
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山田さんが描くアラベスク調の絵画

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結婚式のウェルカムボード

山田さんらしい「きっかけ」と感じますが、山田さんが描いたものに訪ねてくる友達や知人が「この絵いいね!欲しい」と言ってくれるようになったそうです。ここから、絵を描き続け、東京に戻ってからも知人のヒップホップライブのフライヤーやCDジャケットデザインをこなすこととなったようです。

post_strong_01 最近では、知人がオープンする飲食店の壁に絵を描いたりもします。それは、サービスでやってたりするんですね。でも、自分が勤める「小野田青果店」から野菜を仕入れていただけているので、もちつもたれつといったつながりを大切にしたいという想いがあります。
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山田さんデザインの壁画「ラーメン店」

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山田さんデザインの壁画「飲食店」

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山田さんデザインの壁画と店舗オーナー「レストラン」

さらに、山田さんは音楽活動についても八百屋との関係性を考えて取り組まれます。

post_strong_01 今では、音楽活動をするにも、「小野田青果店」のためにやりたいです。「野菜ラップ」もそうですが、ライブでラップを唄い時にはCDをリリースすることで、自分が勤める八百屋がもっと認知されるのであれば良いと考えます。また、そこからこの調布上布田商栄会にたくさんの方が訪れることにつなげてゆければなお嬉しいですね。
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山田さんは「小野田青果店」を中心に地域を盛り上げるため鋭意取り組まれます。しかし、そこには激しい葛藤もあったといいます。

post_strong_01 妻の父親が経営する「小野田青果店」に勤めることを決め、働き始めた当初は自分のやりたいことを犠牲にしてまで取組む、厳しく決して楽ではない「八百屋」という職業を恨んでしまう事もありました。でも、今は違うんです。今では市場のお祭りで自分の好きなラップが歌え、「調布まちゼミ」では自分が得意とするアラベスク調の絵画セミナーを、地域の方々に対しここ「小野田青果店」で開催できています。ある意味自分の特技が、大きく八百屋に貢献できているんです。
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山田さんがてがける、調布まちゼミの看板

山田さんは、「調布まちゼミ」の取り組みが大きく仕事への想いを変化させたといいます。山田さんが講師を務めます「調布まちゼミ」では、コルクボードに直接ポスカで絵を描き、誰でも見栄え良く描けるテクニックを伝える場となります。このセミナーに参加された方々は、自分が絵を描いたおしゃれなコルクボードとして持ち帰れます。「家でまた描きたい!」と皆さんに大変好評な場となりました。「小野田青果店」で販売される旬の野菜をモチーフに、わきあいあいと描きながら、楽しく豊かなアイデアを山田さんは皆さんに伝えます。こういった取組から、山田さんの人柄に対しファンが増えてゆくこととなり、巡り巡って「小野田青果店」や「地域」の活性化につながってゆくと感じます。

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山田さんが講師を務める調布まちゼミの様子

山田さん教えの元、みなさんスラスラと描いてゆきます。こういった「小野田青果店」の通常の取組とは違う場を設け、近隣の方々とものづくりを行う「調布まちゼミ」を通じ感じる、暮らしを豊かにする「もの・こと」について山田さんにうかがいました。

post_strong_01 何をするにも、当たり前のことを当たり前にやっていくことが大切だと思うんです。例えば、僕がかぶっている帽子を購入したとき、そのショップの方の手書きでのお礼メッセージとともに、ショップの方々が作成された商品説明もいただけたんです。こういったおもてなしの心遣いを日々当たり前にやっていくことがとても大切だと感じますし、大切な「もの・こと」であると思います。
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山田さんの今後の展望として、

post_strong_01 めざすは、東京で一番の八百屋になりたいですね。八百屋業はお金と野菜を交換する、とてもシンプルな職業であると思いますが、目利きや仕入れ方など一筋縄ではいかないとつくづく感じています。その分ダイレクトに結果が伝わってくるところが魅力でもありますし、励みにもなります。将来は、ここ上布田商栄会に多様な世代のお客さまを呼べる「小野田青果店」を築いてゆくことを目標にしています。
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「小野田青果」社長と山田さん

山田さんはこれからも「小野田青果店」から旬の野菜とともに、唄い・描きながら、街に活気を届けて行きます。


ちょうふどっとこむ「小野田青果店」

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